執念と努力と
はじめに。
お久しぶりです。いや、ほんとにめちゃくちゃ久しぶりです。半年以上放置してました。書こう書こうとは思っていたんですけども、ホームゲームのあとに試合見返す気力がなかったり、大学進学してまあ生活になれなかったり、ありがたいことに彼女ができたりとで、試合を見返してブログ書く時間を確保できなかった(というより確保しようとしなかった)ら、いつのまにかこの時期になってました。
じゃあなんでこのタイミングでってなんですけども、今回のは戦術チックなことは一旦置いて書こうってのと、さすがにタイトル取ったのでその思いを残しておきたいなぁって思ったので書かせていただきます。
ぶつかり合う執念
前日の大雨とは打って変わって、まさしくファイナルに相応しいスッキリとした秋晴れの空。
なんでお前がいるんだ。来なJのくせに。
試合前こそ上段に空きが目立ったものの、いざ試合となると両チームゴール裏はほぼ満席に。
セレモニーだのなんだのやってて、定刻ちょい遅れぐらいでキックオフ。
立ち上がりはお互いにボールがなかなか落ち着かずラフな展開が続くと、9分に福森のロングフィードからカウンターを受けると、チャナティップの折り返しにファーサイドにいた菅が合わせる。シュートはクロスバーに当たるが跳ね返りが新井の背中に当たってややアンラッキーな感じで先制を許す。
その後は川崎がボールを握る時間が次第に多くなり、多くのチャンスもつくるが枠に嫌われるなど決め手を欠く。
完全にここまでは2年前のデジャブだった。
握れど握れどなかなか点が入らない。
ゴール裏で見ててとてももどかしい展開だった。
そんな状況を打ち破ったのはやはりあの男。
前半AT、左コーナーキックを脇坂が入れると、そのボールは中央を超えてファーにいた阿部の元へ。これを冷静に押し込んで前半のうちに同点に追いつく。
さすが、国内タイトルを味わい尽くしただけあった。
旧ナビ杯から、この大会のファイナルでは一切得点が無かったチームにとって、ほんとに重要な1点だった。
同点になってスタートした後半、札幌は再び前への勢いを強め、お互い一進一退の攻防が続く。
その中で58分、59分と立て続けに脇坂にビックチャンスが訪れるが、どちらも大きく外してしまう。
ユースは余計なとこまでフロンターレに染めるのかよ。クソが
その後も大きな決定期はお互いなかなか作れず、時間が進んでいく。
すると88分、大島のフライパスに反応した小林が裏に抜け出して胸でコントロール。冷静に流し込んで逆転に成功する。
勝敗は決した。そう思われた瞬間だった。
ATを含めてもおよそ5分であろう。
ただし現実はそう甘くなかった。
ATものこりわずかのところで、相手にコーナーキックを与えてしまう。
福森の左足から放たれたボールはきれいなカーブを描くと、これを深井に叩き込まれる。
今年何度も見てきた形で、土壇場で同点に追いつかれた。
タイトルはそう甘いものではないのは重々承知だが、ここまで厳しくなくてもいいだろう。
そして迎えた延長戦。一進一退の攻防が続く中で5分、チャナティップに抜け出されるとこれをボックス手前で谷口が後ろから倒してしまう。
最初はイエローだったが、VARを介してレッドに。
妥当な判定。
このフリーキックを福森に直接決められてしまう。
残された時間は20分程度、しかも疲労が溜まる中で相手より1人少ない。
絶体絶命ではあったが、チームはあきらめず、攻め続ける。
札幌が引いてくれたこともあってか、カウンターを喰らうことはなかったが、なかなかシュートまでいけなかった。
そんなこんなで延長後半。
シュートまでは行けても、なかなかゴールを割らせてくれない。
そんな中での延長19分。
中村のコーナーキックがファーに流れると、そこにいた山村が中に蹴り返す。
そこには小林が待っており、膝で押し込んで同点に追いつく。
今年なかなかパッとしなかったエースがこの大一番でチームを救ってくれた。
その後は人数の多い札幌に押し込まれるも、なんとか凌いでこのままタイムアップ。
決着はPK戦に委ねられることになる。
ヒーローは苦労人
迎えたPK戦。
中立地開催のため、コイントスの結果、川崎側のサイドを使用することになる。
つまり、フロンターレの選手たちは目の前でサポーターの声援を受けることになる
後から思うとここが勝敗の分かれ目になったかもしれない。
そんなPK戦。
先攻、川崎の1本目は小林。彼がしっかりと沈めると、お互い3番手までは順調に決める。
迎えた4本目。
キッカーは車屋。
先輩である谷口が退場したことによる強い思いが乗りすぎたのであろうか、左足から放たれたボールは思いのほか伸びて、クロスバーを叩く。
一方、札幌の4番手のルーカスフェルナンデスはキッチリと決めて札幌がここでリードする。
後がなくなったフロンターレ。
5番手の家長は成功するも相変わらず決められたら負けには変わらない。
相手の5番手、石川のシュート。
左足から放たれたボールはかなりいいコースに飛ぶが、これを新井がセーブ!
勝負は6本目に持ち越されるが、長谷川がしっかりと沈める。
相手の6番手は進藤。やや中央よりにボールは飛んだが、これにしっかりと新井が身体を合わせて、チームの窮地を救い、優勝を手繰り寄せた。
多くのところで話題にはなっているが、新井のキャリアは素人目にしてもとても順風満帆とは言い難いものだろう。それは、同点弾を決めた小林も決して恵まれたものではないが、彼に関してはそれ以上だ。
プロになれるかどうかも怪しいラインから、ヴェルディをクビになり、トライアウトを経て川崎に加入。
その後もまとまった出場機会は2015の後半戦ぐらいと、なかなか試合に絡むことは無いものの、それでもチームを盛り上げ、滅入ることなくしっかりと鍛錬を重ねてきたことが報われた瞬間だっただろうか。
ソンリョンの衰えもあり、チーム状況も良くない中で出番を掴んだ彼は、ヒーローになったのだ。
死闘の末に叶えた悲願
120分でも決着がつかず、PK戦までもつれ込んだが、かくしてフロンターレは勝利を掴んだ。
優勝
なかなかこの2文字と無縁だったチームが、この死闘を闘い抜いて、その座を手にしたのだった。
過去4回決勝の舞台に立ったが、全て惨敗。
そんなクラブが苦しいチーム事情、試合展開を乗り越えて初めてこのカップを掲げた。
自分も6本目の新井のストップとともに叫んだ。めちゃくちゃ叫んだ。
めちゃくちゃ叫んだ後は、溢れ出てくるものを堪えるのは無理だった。
過去4度の挑戦で、涙を流し、タイトルを取れずにチームを去った選手たちも多い。
そんなチームにキャリアを捧げてくれた選手たち。
そんな時代があったからこそのタイトルだろう。
正直、今季のチームの出来は到底褒められるものではなかった。
ちょうど1ヶ月前の神戸とのホームゲーム終了後には、Gゾーンからはブーイングも出た。
そんな苦しい状況でも、彼らは僕らの誇りだった。
それでもまだまだクラブにとっては今回のタイトルは序章に過ぎないだろう。
タイトルの数も、鹿島やガンバと比べればまだまだ少ない。
これまでの3つのタイトルと同様、それらへのチャレンジはとても困難を極めるだろう。
それでも彼らならきっと大丈夫だ。
なぜならフロンターレだから。